山菜にまつわる健康雑学をご紹介します。
「タラの芽」
天ぷらで人気のタラの芽は、山のバターと言われる程、良質なタンパク質と脂質を含んでおり、ビタミンも豊富です。βカロテンが多く含まれているので、いつまでも若々しい美肌を作ってくれます。苦味成分であるエラサイドは、血糖値上昇抑制作用があり、糖の吸収を穏やかにするので、糖尿病の予防にも優れた山菜です。テラペンやピネンは精神の安定も助けるため、イライラしたときはお茶にして飲んでみるのもいいですね。
「ふきのとう」
春が芽吹くといち早く顔を出すふきのとうは、花粉症対策におすすめです。独特な苦味成分には、アレルギー症状や鼻づまりを抑制する作用があり、咳止めにも効きます。この苦味は健胃整腸の薬理効果も高く、食欲増進につながりますが、ノンカロリーなのもうれしいポイントです。食物繊維を多く含むので、便秘を防ぎ、ダイエットにも最適と言えます。
「ミズ」
山菜のなかでもひときわ栄養価の高いミズは、ビタミンB1、B2、C2やミネラルが豊富で、女性にうれしい美肌効果をもたらします。細胞を活性化して老化防止に働き、抗酸化作用にも優れています。包丁でたたくと粘りが出て「ミズとろろ」としておいしい一皿になりますが、このぬめり成分であるヌチンは胃腸を守り、肝機能を強化してくれます。
「山うど」
漢方では山うどの根を「独活」と呼び、神経痛や頭痛、解熱の緩和のために重宝されています。人間はアスパラギン酸が不足すると抵抗力が弱まり、疲労がたまりますが、山うどはアスパラギン酸を多く含んでいるのでからだを回復へと導きます。香り成分のジテルベンは自律神経系に働きかけ、からだのみならず、内面の精神安定にもよいとされています。
「しどけ」
山菜通が好んでやまないしどけは、春山菜ならではの苦味成分がからだをすっきりと目覚めさせます。ビタミンCやカロテンが多く含まれ、鉄分はほうれん草の約5倍ほどになるので、コレステロールを抑制し、貧血を予防します。視力低下予防の効能もありますが、最近では抗がん物質が発見され、薬理的効果にも期待が集まっています。
「自然薯」
滋養強壮食として古来から親しまれています。ネバネバ成分のムチンが強壮効果を発揮し、女性には美肌効果や肥満改善、子供には滋養を与え風邪予防として食されます。消化酵素のアミラーゼを多く含むので、食べたものを速やかに消化吸収します。カルシウム、鉄分、リンなどのミネラルやビタミンにも富み、細胞の増殖機能を促進して、疲労回復を助けます。
「こごみ」
こごみはカロテン含有量に富み、緑黄色野菜並みと言えます。カロテンの酸化防止のため、ビタミンEやタンパク質を含む食品と一緒に摂取すると、体内で有効に働きます。生活習慣病にも効くカルシウムがキャベツの1.6倍もあり、非常に高い栄養をもっています。人間の体内でつくられない成分であるアラキドン酸も、免疫機能を整えて、全身のさまざまな症状を未然に予防する大切な成分です。
「わらび」
「五月わらびは嫁に食わすな」という諺があるほど、山菜の代表として広く知られています。利尿作用や通便作用をもち、有害物質や老廃物を排出します。石灰質を含むので、食していると自然と歯や骨が強化されるようです。乾燥わらびにすることで、栄養価が高まり、カリウムや鉄分はなんと10倍以上にも増えます。わらびにとって必要不可欠のあく抜き工程で、発がん性物質であるプタキロサイドは抑制されますので、安心して食べられます。
「ふき」
茎に刻まれているすじから想像できるとおり、ふきは食物繊維を多く含む山菜です。日本人が増加傾向にある大腸がんの予防にもなることでも知られています。日々の便通をすっきりさせるだけでなく、利尿作用もあるので、血液中にある不要な塩分を排出する役目も担います。コレステロールの吸収も防ぐため、血圧を下げつつ、動脈硬化などの生活習慣予防としても効果があります。
「ぜんまい」
ぜんまいは、ビタミンC、Aを多く含有し、食物繊維が豊富です。食物繊維は胃の中におさまると、水分を吸収して膨張するので満腹感をもたらします。食品過剰摂取を未然に防ぐダイエットにもおすすめの山菜と言えます。腸内に移ると、有害物質や発がん物質を吸着するので大腸がんの予防食にもなります。その他、催乳、止血、利尿などの効用があります。